ダラス市が低所得世帯の住宅修繕を支援するために設立した基金が、約2年間にわたりほとんど使われていないことが、2026年10月19日に報じられました。

この基金は、市がコード違反の罰金として徴収した各36ドルが積み立てられるもので、AI搭載カメラによるコード違反検出が強化される中で、その運用停止が明らかになりました。

NBC 5の調査によると、ダラス市はAIカメラの導入に先立ち、約2年前にこの基金からの助成金交付を停止していました。しかし、その間も違反罰金は基金に流入し続けていたとのことです。AIカメラは稼働開始から数ヶ月で20,000件以上の潜在的なコード違反を検出し、4月から9月中旬までに約3,700件の通知が住民に送付されています。さらに、300件の新たな法的措置が開始され、約50件の物件に対して80件以上の違反切符が発行されました。

この状況は、経済的な理由で住宅の修繕が困難な住民にとって大きな課題となっています。例えば、オーククリフ地区に住むダニエル・ダビラの母親の家も、AI搭載ゴミ収集車によるAIカメラでコード違反が検出され、当局から違反切符が発行されました。ダビラ氏は、屋根の修理は行ったものの、父親の死後、隣接する敷地の他の構造物の修理費用を捻出することが困難であると語っています。

この基金は、稼働していた当時、条件を満たす低所得世帯に対し最大20,000ドルの助成金を交付しており、コード執行官からの紹介をもとに年間20〜30世帯程度を支援していました。基金にこれまでいくら積み立てられ、使われずに残っているかという具体的な総額について、市は「情報公開請求(オープンレコードリクエスト)を提出する必要がある」として開示していません。一方で市側は、この基金の再開を検討していると説明しています。

AI技術を活用したコード違反の取り締まりが強化される一方で、その違反を改善するための経済的支援策が滞っている現状は、ダラス市民に影響を与えています。基金は低所得者向けに設けられたものであり、その目的通りの運用再開が待たれるところです。