2026年11月3日にNPR Life Kitで紹介されたのは、ジャーナリストで著者でもあるエリック・アティス氏の著書「Saying No to New: Why New Things Are Stealing Your Time, Money, and Happiness」から読み解く、現代社会における「新しいもの」との向き合い方です。

新しいものを追い求める本能と現代の課題

人間は新しいものに強く惹かれるようにできています。新しい食料や縄張りを見つけるという生存本能から、脳がドーパミンを放出して好奇心を刺激するためです。しかし、現代社会ではこの本能が過剰に刺激され、新しいものばかりを追い求めることで、貴重な時間、お金、注意、そして真の喜びや幸福を奪われることがあります。

アティス氏は、自己評価が低いと感じた時に、高価な新しいものを買う傾向があるという研究結果にも言及しています。参加者に低い評価のタスクを与えた後、高価なアイテムにいくら支払うか尋ねたところ、自己評価が脅かされた参加者ほど高額を提示する傾向が見られました。

解決策1: 自分の「価値観」を明確にする

常に新しい購買を促す企業からの情報があふれる中で、自分の「価値観」を深く理解し、書き出すことが重要です。研究によると、価値観を書き出すことは、より良い意思決定と行動変容に繋がることが示されています。アティス氏自身も、AI搭載メガネの購買を検討する際に「デジタル空間への過度な接続は望まない」という価値観に基づき購入を見送る一方、ニューヨーク市で暮らす自分にとって「冬の寒さをしのぐ防寒着」は価値があるため購入すると語っています。自分の生活を客観的に観察し、何に喜びを感じ、何を大切にしているかを見つめ直しましょう。

解決策2: 「新しいものギャップ」を作る

新しいものを「欲しい」と感じてから実際に「購入する」までの時間と距離を意図的に広げる「New Thing Gap」という概念が提唱されています。具体的な方法としては、ショッピングアプリをスマートフォンから削除したり、オンラインストアに保存されているクレジットカード情報を削除したりすることが挙げられます。また、何か買いたいものを見つけたら「24時間待ってから購入する」というルールを設定するのも効果的で、研究ではその間に購入への興味が薄れることが示されています。「3分以内に購入すれば25%オフ」「在庫残りわずか」といった、購買意欲を煽るビジネスの戦略に惑わされない意識を持つことが大切です。

解決策3: 「慣れ親しんだもの」を再発見する

常に新しいものを追い求める義務感から解放されるには、すでに持っているものや慣れ親しんだものの中に、新たな喜びや楽しみを発見する視点が有効です。博物館の展示を再度訪れる実験では、多くの参加者は再訪しても楽しめないだろうと予測したものの、実際に訪れると初回と同じくらい楽しめたと報告されています。初回では見逃していた細部を発見したり、ただ見ることを楽しんだりする中で、既存のモノや体験の中に、これまで気づかなかった喜びや興奮を発見できるとされています。